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大学院進学Q & A
修士課程入学を検討している人によく聞かれる質問と答え



Q1. 何の研究をしていますか。

ヒト(Homo sapiens)は進化を通じて、祖先となる動物から派生してきました。このため、ヒトとそれ以外の動物との関係は連続的であり、両者の間には数多くの共通性が見られます。

一方、「人間」と「動物」との間には、不連続的な隔たりが感じられることもあります。すべての生物種がユニークであるのと同じ意味で、ヒトにはヒトにしか見られない特異性があります。ヒトを「人間」にしているのは、このような特異性です。

「人間」を、「人間」に特異的でない一般的枠組で説明すること、すなわち、ヒトの特異性の進化的起源を明らかにすることが、当研究室の中心課題です。研究の手法としては、集団遺伝学や進化ゲーム理論などの数理モデル、およびコンピュータ・シミュレーションを使った理論的研究が中心です。

Q2. 数理モデルを使って何ができるのですか。

数理モデルといっても様々な種類があり、その用途も一様ではありません。私達は主に、複雑な現象をことばによって表現するため道具として数理モデルを使っています。

ものごとを科学的に理解するための第一歩は、それをことばによって表現することです。対象となるものごとのあらゆる側面を言い尽くすことは通常できませんから、ことばで表現するということは、ものごとから関心のある側面を抽出する作業であるとも言えます。

しかし、日常的なことばには限界があります。理解したい対象が複雑になるにつれ、それを表現することが困難になるためです。複雑な現象を表現するための道具としては、日常的なことばよりも数式の方が適しています。生物学においても、比較的複雑な現象を扱う進化、生態の分野では、早くから数理モデルが使われてきました。

数理モデルをうまく使うと、複雑な現象に関する理解を深めることができます。複雑な現象を説明するためには、まず仮説を立て、次にそこから導かれる予測を検証する作業が必要です。複雑な現象から要素を削ぎ落として組み立てた単純な数理モデルは、日常的なことばによる議論だけでは把握しきれない仮説の論理的整合性を検討し、現象の説明に必要な最小限の要因を明確にし、検証すべき定性的予測を発見するのに役立ちます。

Q3. 研究のためにどのような予備知識が必要ですか。

数学、統計学、コンピュータ・プログラミングの知識を使います。

当研究室で使っている数学は、高校または大学教養課程レベルのものが中心です。それ以上の数学の知識は、あれば研究の幅が広がりますが、不可欠ではありません。ただし、数学が大嫌いな人には当研究室は向いていません。

統計学は入学後に勉強しても良いと思います。

コンピュータ・プログラミングについては、高度な知識は要求されないので、経験のない人でも入学後に勉強すれば間に合うと思います。ただし、パソコンに対する苦手意識が強い人は苦労するでしょう。

Q4. 研究分野に関連する和書を教えて下さい。

数理モデルを使った生物学の研究とはどのようなものなのかを知りたい人には、次の本を推薦します。

「数理生物学入門」 巌佐庸(1998) 共立出版

より新しい題材に興味がある人には、次の本も良いと思います。

「進化のダイナミクス」 M. A. Nowak(竹内ら訳)(2008) 共立出版

行動生態学、進化生態学の入門書としては、次の本があります。

「行動生態学入門」 粕谷英一(1990) 東海大学出版会
「生き物の進化ゲーム」 酒井聡樹・高田壮則・近雅博(1999) 共立出版

自然人類学の各分野を広くカバーした教科書が出版されました。

「ヒトはどのように進化してきたか」R. Boyd & J. B. Silk(松本・小田監訳)(2011) ミネルヴァ書房

ヒト行動の進化に関する古典的読み物を挙げておきます。

「人間の本性について」 E. O. Wilson(岸訳)(1997) 筑摩書房
「ダーウィニズムと人間の諸問題」 R. D. Alexander(山根・牧野訳)(1988) 思索社
「人間はどこまでチンパンジーか」 J. Diamond(長谷川・長谷川訳)(1993) 新曜社

Q5. 修士課程ではどのような研究テーマを与えられますか。

テーマは与えられません。指導教員と相談しながら、学生が自らテーマを見つけ出します。

Q6. 最近の修士論文、博士論文のテーマを教えて下さい。

これまでの修士論文のタイトルは次の通りです。

大きなグループにおける協力行動に対する遺伝的浮動を考慮した確率論的アプローチ
黒川瞬(2009年度)(Kurokawa & Ihara 2009; Kurokawa et al. 2010)

ハイランク志向形質の広がりと社会への影響
小森敏(2009年度)

コミュニケーションの3つのクラスとその進化条件
田村光平(2009年度)(Tamura & Ihara 2011)

Human homogamy in facial characteristics: Does sexual imprinting-like mechanism play a role?
能城沙織(2009年度)(Nojo et al. 2011a, b)

Replicator-dynamics models of sexual conflict
木村麻里子(2008年度)(Kimura & Ihara 2009)

A theoretical study on the evolution of male parental care and female multiple mating: effects of female mate choice and male care bias
関元秀(2006年度)(Seki et al. 2007)

これまでの博士論文のタイトルは次の通りです。

Studies on parental influences on children’s family in humans
関元秀(2011年度)(Seki et al. 2012; Seki 2012)

Q7. どうすれば入学できますか。

東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の入学試験に合格すると入学できます。

Q8. 外部からの受験は不利ですか。

入試の合否判定は、内部・外部の区別なく行われます。なお、これまでの修士課程入学者の出身大学は次の通りです。

東京大学7名
他大学3名(鳥取大、名古屋大、早稲田大)
入学者合計10名

Q9. 卒業後の進路について教えて下さい。

修士課程卒業後の進路は次の通りです。

博士課程進学4名
就職1名(日立製作所)
その他1名
卒業者合計6名

博士課程進学後の進路は次の通りです。

在籍中2名
博士(理学)取得1名(北海道大研究員)
就職1名(環境省)

Q10. 研究室の見学はできますか。

随時受け付けています。

問い合わせ先:
井原泰雄(講師)
Email: iharay (at) biol.s.u-tokyo.ac.jp

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