心臓大血管系は、10種類もの細胞が秩序良く配置され、ヒトでは80年間ほぼ再生せず活動し続ける重要な生命維持器官です。この細胞分化メカニズムや心疾患発症の際に遺伝子異常発現の際にはエピジェネティック因子群が重要な機能を行っていることが我々の研究から明らかになってきています。これらを統括的な理解するには、ノックアウト/トランスジェニックマウスを用いた発生工学的手法、心臓生理学的解析等の個体レベル解析系が必要であり、これと並列して、細胞培養系を用いた分子生物学/生化学解析系を駆使して、転写因子―クロマチン因子複合体を中心に3つの研究を展開しています。
1)心臓Evo-Devo研究。多種生物における心臓形態の多様性と心臓形態進化発生学の理解。生物固有な「かたち」を形成するうえでの重要分子とエンハンサー領域を探索しています。
2)心臓構成細胞マスター因子研究。マウス胚、ES・iPS細胞培養系研究と、最新遺伝子導入法や細胞分別法を駆使し、各種細胞(心筋、ペースメーカ細胞、心臓幹細胞)分化決定因子の同定を試みています。
3)再生研究。心不全、心機能維持のメカニズムを理解するため、疾患モデルマウス作製と医学的研究(生体イメージング、電気生理学)を連携させ、心機能回復を目指した研究を行なっています。
4)3D、4D立体イメージング解析系の開発。
Koshiba-Takeuchi K., Mori AD., Kaynak BL., Cebra-Thomas J., Sukonnik T., Georges RO., Latham S., Beck L., Henkelman RM., Black BL., Olson EN., Wade J., Takeuchi JK., Nemer M., Gilbert SF. And Bruneau BG. (2009)
Repltilian heart development and the molecular basis of cardiac chamber evolution.
Nature, 462, 92-95.
Takeuchi JK.*& Bruenau BG.* (2009)
Direct differentiation of mouse mesoderm to heart tissue by defined factors.
Nature 459, 708-711. *: Equal correspondence
Koshiba-Takeuchi K.*, Takeuchi J.K.*, Arruda E.P., Kathiriya I.S., Mo R., Hui CC., Srivastava D. and Bruneau B.G. (2006)
Cooperative and antagonistic interactions between Sall4 and Tbx5 pattern the mouse limb and heart.
Nature Genetics 38:175-183.
杉崎弘江、竹内純 (2010) 心臓再生医療を目指した幹・前駆細胞からの利用状況と応用戦略
「実験医学 増刊 再生医療の最前線2010」 羊土社、pp.62-69
竹内純、小柴和子 (2009) 心臓誘導と心筋分化——マスター因子は存在するのか?
「医学のあゆみ 別冊5月号 細胞医療Update」 医歯薬出版、pp.711-719
