生物の持つ多様性と共通性には、「生命とは何か?」を知る手がかりが秘められています。生物科学専攻では、分子から生態系までの多様な視点から生命の謎の解明に挑んでいます。生物科学専攻・生物学科の教育・研究は、本郷キャンパスの赤門近くに建つ「理学部2号館」で行われています。
1934年に竣工したこの建物は、関東大震災クラスの地震にも耐えられるよう設計されたということです。この20年間に何度かの改修が行われ、風格と同時に機能性を備えた理学部2号館では主に、基幹講座の研究室による最先端の研究と教育が行われています。
協力講座に属する附属臨海実験所は神奈川県三浦市三崎町にあります。臨海実験所は恵まれた研究環境の中で1886年の創設以来日本の動物学・海洋生物学の研究・教育の中心として活動してきた。現在は 、生物学の最重要課題のひとつとされる「多様性の生物学」を基盤に置き、海洋の多様な生物における発生生物学・細胞生物学的 研究及び系統分類学的研究を、21世紀の生物学、生命科学を担う研究拠点形成を目指し行なっています。
| 附属臨海実験所(記念館) | ![]() |
| 附属臨海実験所(研究棟) | ![]() |
| 附属臨海実験所(臨海丸) | ![]() |
附属植物園(本園)は文京区小石川にあります。植物園には文京区白山の本園(通称小石川植物園)と栃木県日光の分園があり、あわせて6000種類にのぼる生きた植物資料(バイオリソース)と、多数の押し葉標本、分類学関連の文献を収集しています。本園の研究室では、これらを研究資料として活用するほか、生態情報や資料の収集のために国内、海外で現地調査を行い、形態学から集団遺伝学、分子系統学まで様々な手法を用いて多様性の解析を行なっています。その内容は、テンナンショウ属など日課植物区系を特徴づけるグループの系統分類学的研究、日本列島の広域分布種や汎熱帯海流散布植物などの地域集団の遺伝学的関係の解析、シュート構成の多様性と伸長様式の解析、日本を含む日華区系の植物相の特徴の解明などです。また、植物を特徴づける形態形成や分化・脱分化の基本機構の理解を目指して、主としてモデル植物の温度感受性突然変異体を利用した遺伝生理学。分子遺伝学的研究に取り組んでいます。特に細胞増殖の多段階制御、細胞増殖と器官成長の制約関係、器官再生における自己組織化といった点に注目しつつ、研究を進めています。日光分園の研究室では、植物の生理生態学レベルでの研究をもとに、生態系レベルで観察される様々な現象を解明することを目指しています。生理生態学的な研究としては、高等植物の光合成能力を決めている要因の解析、シュート形成の規範の解析などを行なってきました。現在はこれらの研究をもとに、光を巡って競争する個体群の形成メカニズム、熱帯からタイガにかけての常緑性植物の分布を決定する要因、森林の遷移機構などに研究を発展させています。さらに本園・分園の栽培技術と施設を利用し、小笠原の固有植物など絶滅危惧植物の収集・増殖を行い、保全生物学的研究も行なっています。
| 附属植物園の桜 | ![]() |
| 1877年 | (M10) | [東京大学創立] | 理学部生物学科設置(東京神田一ツ橋)小石川植物園理学部に附置 |
|---|---|---|---|
| 1886年 | (M19) | [帝国大学と改称] | 理学部動物学科、植物学科設置(本郷へ移転)臨海実験所設置(理学部に附置) |
| 1897年 | (M30) | [東京帝国大学と改称] | |
| 1902年 | (M35) | 植物園日光分園設置(理学部に附置) | |
| 1934年 | (S9) | 理学部2号館竣工(動物学科、植物学科移転) | |
| 1939年 | (S14) | 人類学科設置 | |
| 1947年 | (S22) | [東京大学と改称] | 理学部動物学科、植物学科、人類学科 |
| 1949年 | (S24) | 理学部生物学科設置(動物学を主とするもの、植物学を主とするもの、人類学を主とするもの) | |
| 1953年 | (S28) | [東京大学大学院設置] | 生物系研究科設置(動物学専門課程、植物学専門課程、人類学専門課程) |
| 1965年 | (S40) | 理学系研究科設置(動物学専攻、植物学専攻、人類学専攻) | |
| 1992年 | (H4) | 大学院重点化(教官は、大学院専任、学部兼担となる) | |
| 1995年 | (H7) | 理学系研究科生物科学専攻設置(動物科学大講座、植物科学大講座、人類科学大講座、進化多様性生物学大講座、広域理学大講座、協力講座、流動講座) | |
| 2004年 | (H16) | [国立大学法人 東京大学となる] |
